• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2006 年度 実績報告書

複雑な時系列を産出する神経モジュール間の相互作用

研究課題

研究課題/領域番号 18700303
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

西川 淳  独立行政法人理化学研究所, 生物言語研究チーム, 研究員 (20392061)

キーワード小鳥の歌 / 発声学習 / 聴覚表象 / ポピュレーションコーディング / HVC / 情報量解析 / 相互作用 / 多点同時記録
研究概要

本研究の目的は、複雑な時系列処理を可能にする神経機構を解明することである。その動物モデルとして、ジュウシマツという小鳥を用いる。ジュウシマツの歌は、無音区間で区切られた歌要素を時系列に並べた学習性の音声である。その系列規則は有限状態文法で記述できる。歌を学習する際に聴覚を奪ってしまうと学習が阻害されることから、歌制御系に聴覚情報がどのように入ってくるのかを明らかにすることが重要となる。
歌制御系の中でも主に系列制御に関わると考えられているHVCから単一細胞記録を行い、作り得る全ての歌要素ペア刺激に対する聴覚応答を調べた。HVCニューロンは緩い系列応答特性を持ち、その特性は同一個体内で異なることが分かった。ポピュレーションダイナミクス解析を行ったところ、一音目の呈示後には一音目のグループでクラスタリングされたが、二音目の呈示後には二音目のグループでのクラスタリングにオーバーラップが残ることを明らかにした。相互情報量解析を行ったところ、一音目と二音目の関係性を示す関連性情報量が有意なピークを持つという結果を得た。以上のことから、ジュウシマツHVCにおいて歌要素系列の情報がポピュレーションレベルでコードされていることが明らかとなった。
こうしたコーディングが、どのようなネットワークと学習則によって作り出されるか検討するために、スパイキングニューロンを多数繋げた数理モデルを構築した。このネットワークにバースト系列を入力させてSTDP学習則を適用したところ、系列選択性が獲得された。しかし、電気生理実験で得られた系列選択性を全て説明するには、より時間スケールの長いコンポーネントや、新しい学習則が必要であることが示唆された。また、こうした系列の情報表現が、理論の立場から提案されているカントールコーディングと、密接に関係していることを明らかにした。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] 小鳥の高次発声中枢における歌要素系列のポピュレーションコーデイング2007

    • 著者名/発表者名
      西川淳, 岡田真人, 岡ノ谷一夫
    • 雑誌名

      信学技報 106・501

      ページ: 17-22

  • [雑誌論文] Dynamical neural representation of song syntax in Bengalese Finch : a model study2006

    • 著者名/発表者名
      Jun Nishikawa, Kazuo Okanoya
    • 雑誌名

      Ornithological Science 5・1

      ページ: 95-103

  • [雑誌論文] 小鳥の歌学習の神経回路は?2006

    • 著者名/発表者名
      西川淳, 岡ノ谷一夫
    • 雑誌名

      Clinical Neuroscience 24・5

      ページ: 609

URL: 

公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi