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2006 年度 実績報告書

海馬CA3野における記憶形成メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 18700308
研究機関東京大学

研究代表者

中尾 和人  東京大学, 大学院医学系研究科, 特任助手 (30401029)

キーワード海馬 / グルタミン酸受容体 / 局所脳波 / リカレントネットワーク / ノックアウトマウス
研究概要

本研究では、海馬CA3野特異的にNMDA受容体欠損マウスを作成し、電気生理学的解析を行った。現在まで、個体レベルで電気生理学的解析ができるシステムを構築し、以下のことを明らかにした。
ウレタン麻酔下で、海馬CA3野にタングスタン電極を挿入したところ、非常に大きな振幅を持つ波形(EEG spike)が観察された。このEEG spikeは低頻度で持続的に発火していた。この特異的なEEG spikeの発生源を明らかにするため、同時に多数の箇所から記録ができるシリコンプローブを海馬に挿入し、電流源密度解析を行った。その結果、層が深くなるに連れ波形の反転が観察され、海馬CA3野で電流の発生を示す吸い込みが認められた。したがって、このEEG spikeの発生源は海馬CA3野錐体細胞層であると考えられる。
さらに、このEEG spikeの発生メカニズムを明らかにするため、ガラス電極を挿入し、個々の神経細胞の発火活動(multiple unit activity)とEEG spikeとの関係を検討した。海馬CA3野において、multiple unit activityとEEG spikeとの間に高い同期生が認められた。
以上より、NMDA受容体欠損により海馬CA3野の反回性回路で興奮性が高まり、その結果、multiple unit activityの同期生が高まることで特徴的なEEG spikeが生じたものだと考えられる。このことから、NMDA受容体は、従来いわれているようにシナプスレベルではシナプス可塑性に関与しているが、ネットワークレベルでは同期生をコントロールする働きがあるものだと推定される。
本研究結果は、NMDA受容体の新たな機能を示唆するものだと考えられる。

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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