視覚記憶情報を想起する際に、下部側頭葉内のサブ領域(36野、TE野)間でどのような情報が伝達されているかを明らかにするために、平成19年度に以下の研究を行った。 1.マカクサルに対する視覚長期対連合記憶課題の訓練 マカクサル2頭に対し、2つのフーリエ図形を対として記憶させる視覚長期対連合記憶課題の訓練を開始した。サルが対連合記憶課題を学習した後に、麻酔下にて頭部固定具を取り付けた。その後、固定具によって頭部を固定した状態で、注視課題の訓練を行った。更に、対連合記憶課題と注視課題を組み合わせて、注視した状態で対連合記憶課題を行わせた。 2.対連合記憶課題遂行中のサル下部側頭葉からの単一ユニット電位による課題関連ニューロンの分布マッピング 一匹のサルに対して、麻酔下にて記録用チェンバを頭部に取り付け、視覚長期対連合記憶課題遂行中のサル下部側頭葉から単一ユニット記録を行った。課題に関連した活動を示すニューロンの分布を調べたところ、課題関連活動を示すニューロンが集中している部位(以下クラスター)を36野で1つ、TE野に複数同定した。 3.サル下部側頭葉の単一ユニット活動電位および局所フィールド電位の同時記録 多電極用マイクロマニピュレーターMO-97A-Sを用いて、2)で同定した36野およびTE野のクラスターから課題に関連した単一ユニットおよび局所フィールド電位を同時記録した。その結果、36野とTE野の両野のクラスターから図形提示時に反応を示す局所フィールド電位を同定した。
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