研究概要 |
我々のこれまでの研究で、GAD67-GFP knock-in mouse大脳新皮質脳室下帯のGFP陽性細胞では、GABA合成酵素(GAD67)と神経細胞マーカーのMAP2、Tuj1陽性の細胞の一部で、細胞増殖マーカーであるKi-67、リン酸化ピストンH3、BrdUが共存することがわかっていた。また、El8のGAD67-GFP knock-in mouse大脳新皮質脳室下帯のGFP陽性細胞を用いたシングルセルRT-PCR解析ではGAD67,Tuj1,MAP2,β-actinは全ての細胞で検出できたが、同時に1〜2/10の確立で、細胞増殖マーカーであるKi-67陽性の細胞も見つかっている。本研究でこれらの細胞の特性やその発現プロファイリングを詳細に解析するため、単一細胞マイクロアレイ法を開発した。本方法は市販のキットを組み合わせて解析を行うことができる非常に簡便な方法である。この方法を用いて、7個のGAD67-GFP knock-in mouse大脳新皮質脳室下帯のGFP陽性細胞で解析を行った。7個の細胞中、Ki-67陽性細胞は1個、別の細胞増殖マーカーであるPCNA陽性細胞は2個見つかった。DNA replicationに関わる遺伝子の発現を調べたところ、PCNA、Ki67二重陽性の細胞で多くの遺伝子が発現していたので、この細胞はDNA合成期にあったと考えられる。また、他の細胞も何らかのDNA replication関連遺伝子が発現しており、GO期にあってもまだ分裂能を秘めた細胞であった可能性が考えられる。これらの結果はGABAergic intermediate progenitorが脳室下帯に多く含まれていることを示唆している。
|