研究概要 |
RA175は免疫グロブリンファミリーに属する神経系と上皮組織に特異的に局在するホモフィリックな細胞接着分子であり、神経細胞の軸索伸長、軸索経路探索、繊維束の形成に関与している。またRA175は、SudhofらによりSynCAMとして機能シナプスの形成に関与する接着蛋白としても報告されているものの、未だ不明な点が多く残されている。RA175(SynCAM)ノックアウト雄マウスは不妊症状を示し、これまでの精巣異常についての解析結果は神経組織およびシナプス伝達機構におけるRA175(SynCAM)の機能の解明に役立つものと確信し、本研究では、後シナプス肥厚上のPDZ領域を持つ分子に焦点をあて、シナプスでRA175(SynCAM)と足場を形成する蛋白を探索し、それに結合するシナプス接着分子や受容体からなる複合体を解析し、これら分子のシナプス情報伝達における機能を明らかにすることを目的として検討を行った。 RA175(SynCAM)のC末端のPDZ結合配列に結合する蛋白をマウス胎児ライブラリーからtwoハイブリッド法にて探索し、未知および既知あわせて約十種類の候補遺伝子が得られた。現在擬陽性と陽性との識別過程を行っている。また、RA175の細胞質領域とGRIP, SynGAP, GKAP, PSD95,Shank, Homerなどシナプスに局在が知られているPDZ領域を有する蛋白との相互作用を調べるため、細胞発現系のベクターに導入し、免疫沈降法およびGST融合蛋白法、さらに蛋白を用いたプルダウンアッセイを行い、解析を進めている。
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