研究概要 |
RA175/SynCAM1は免疫グロブリンファミリーに属する神経系と上皮組織に特異的に局在するホモフィリックな細胞接着分子であり,神経細胞の軸索伸長,軸索経路探索,繊維束の形成に関与している。C末端のPDZ結合領域(EYFI)を介して細胞接着に関与しており,機能的シナプスの形成に関与しており,RAI75/SynCAMIはシナプス前膜においてCASKと結合していることが知られているが,シナプス後膜で結合する分子については,明らかでない。 我々はRA175/SynCAMIのC末端EYFIに結合するタンパクをtwoハイブリットシステムに分離し,プルダウン法,免疫沈降法,免疫染色法によりシナプス後膜にて複合体形成する蛋白を解析,同定した。その結果,1)RA175/SynCAM1はPar-3と直接結合することを明らかにし,作製したRA175/SynCAM1ノッひクアウトマウスを用いて「RA175/SynCM1ノックアウトマウスの精巣におけるPar-3の異常」について報告した(Am J Patho1.,2007)。シナプス形成機構でも,上皮組織における細胞接着ジャンクション形成に基本構造が保存されていることから,シナプス後膜においてもRA175/SynCAMの複合体が存在し,興奮性および抑制性の機能シナプス形成に関与していることが考えられる(投稿準備申)。2)ガンマーシントロフィンがNeuroligin同様にRA175/SynCAMに結合することが明らかになった(投稿準備中)。さらに特異的な神経回路網作製のために,過剰なRA175/SynCAMはデンドライト上で切断されることが明らかになった(投稿中)。
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