研究概要 |
免疫グロブリンファミリーに属し最近になってCadm1に名前が統一されたRA175/SynCAM1は、C末端のPDZ結合領域を介して細胞接着・機能的シナプスの形成に関与している。我々はこれまでRA175/SynCAM1のC末端EYFIに結合するタンパクを探索し、プルダウン・免疫沈降・免疫染色法により複合体を形成する蛋白を解析し、RA175/SynCAM1はPar-3と直接結合することを明らかにし、作製したRA175/SynCAM1ノックアウトマウスを用いて解析を行ってきた(Am J Pathol., 2007) 。本年度は、下の1)-3)についての結果を得た。1)RA175/SynCAMにはこれまで知られているエクソン7とエクソン9の間が異なるアイソフォームが少なくとも4つの存在し、特異的な神経回路網作製のために、過剰なRA175/SynCAMはデンドライト上で切断されることが明らかにした。またこの切断はtumor necrosis factor-alpha-プロテアーゼ阻害剤により影響をうけることから、tumor necrosis factor-alpha-converting enzyme (TACE)/ADAM17-様プロテアーゼが作用している可能性が示唆された(Neurosci Lett., 2008)2)RA175ノックアウトマウスの行動解析および生理学的解析についてRA175ノックアウトマウスを129SV系統からC57BL/6J系統に10代継代し、解析を進めている(投稿準備中)。3)共同研究により自閉症患者集団についてRA175/SynCAM1の変異を調べたところ、二種類の変異を見出した。これらの変異が疾病に関与していると示唆された(Biochem Biophys Res Commun., 2008)。
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