研究概要 |
αタイプエストロゲン受容体(ERα)局在による脳神経機能調節機構の解析を行うためには,nERα(核内受容体),mERα(膜受容体)の発現バランスを調節する技術が必須である.そのためにhGFAPプロモーター下流に細胞標識用蛍光蛋白質をつないだレンチウイルスを作成した.現在,さらに以下のようなウイルスのサブクローニング中である. wild type (WT) ERαもしくはそのsiRNAを組み込こんだウイルス.serine522をalanin置換したmutant ERα (S522A)を組み込んだウイルス(S522AはERαの機能に影響を与えずERαの膜局在を阻害する),あるいはそのdominant negative体を組み込んだウイルス,などである.これらのウイルスは培養アストロサイトあるいは脳スライス標本に感染させ,アストロサイト細胞機能および神経細胞-アストロサイト-血管機能連関とnERα, mERαの関連について明らかにする予定である.Xenopus oocyteにL-gluトランスポーターをサブタイプ特異的に強制発現し,トランスポーター電流の測定系を立ち上げた.この系を用いてmERαは一酸化窒素(NO)産生を介してGLASTのみならずGLT-1の機能も阻害することを明らかにした.反応のばらつきが大きかったため,NO generatorやblockerを電流測定中に直接oocytesにinjectionする実験系を立ち上げ,より詳細な検討を可能にした.細胞内局在によるERαの構造変化について原子間力顕微鏡(AFM)を用いた一分子イメージングにより検討した.nERα,mERαに明らかな構造的差異が認められた.これらの構造の差異が今後リガンド開発に影響を与える可能性が考えられる.今後,この構造的差異が何に由来するのかについて検討する.
|