研究概要 |
本年度は、30個体のC57BL/6J系統雄個体にENU投与を行い、同系統との交配により得られたG1世代雄30個体と同C57BL/6J系統雌個体との交配により、G2世代雌個体を各G1雄当たり4個体得た。さらにG1世代とG2世代のマウスを交配して各G1当たり平均59個体(雌29/雄30)のG3世代を生産した。 過排卵処理を施した23から30日齢のG3世代雌886個体について、卵管膨大部より卵子を採取し、ヒアロニダーゼ処理さらにプロテインアーゼ処理を行い、体細胞である卵丘細胞の除去を行った。次に当研究室で確立した極少数の細胞から複数のインプリント遺伝子内DMR(differential methylated region)のメチル化レベルを定量的に測定する方法により、各G3個体より得られた数十の卵子ゲノムの6つのインプリント遺伝子内DMD(H19 A領域,H19 B領域,Rasgrf1,Peg1,Peg3,Lit1)のメチル化レベルの測定を行った。 正常マウス(C57BL/6J系統)卵子を用いて作成した各インプリント遺伝子DMR内のメチル化レベルの基準値と比較した結果、Peg1,Peg3,Rasgrf1の各DMRにおいてそれぞれ異常値を示すG3個体が1個体ずつ検出された。現在、これらの異常マウスと同リターの複数のG3雄マウスを用いて、他系統(DBA/2J)雌との戻し交配個体の産生を行っている。来年度、得られるG5個体について異常値の検出されたインプリント遺伝子DMRのメチル化レベルの測定を行い、遺伝性の確認さらに、遺伝性がある場合、染色体マッピングを行う予定である。
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