「医療と健康の情報化」の時代に即した家庭でも安心して使える生体計測用センサをめざし、生体適合性と柔軟性を特長とした酸素センサ及びバイオセンサを開発した。生体計測用のセンサにおいては単に感度や信頼性を上げるだけでなく、装着感や安全性といった機能も重要視される。そこで、本センサは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)及び2-メタクリロイルオキシエチルポスホリルコリン(MPC)とドデシルメタクリレート(DMA)の共重合体(PMD)を構造部材およびセンサ機能を実現するための構成材料として用いることとした。PMDはMPCポリマーと呼ばれる細胞膜の分子構造を高分子化学の手法で模倣した機能性高分子膜の一種で、極めて高い生体適合性を有している。 本研究においては、これまでセンサ材料として用いられることの無かったPMDの機能を活用し、センサを構築するため、まずPMDの有する過酸化水素や酸素の透過性を評価した後、エタノールを溶媒としたPMDと酵素を混合することにより容易に包括固定化が可能であることを明らかにした。センサの作製では、シリコンウエハ上にPDMS膜を形成した後、従来のウエアラブル酸素センサと同様に半導体プロセスを用いて白金および銀電極をパターン形成した後、塩化処理にて銀・塩化銀電極とした。その後、GODとPMD溶液を混合したものをセンサ官能部に塗布し、グルコースセンサとした。本センサの特性評価の結果、涙液の糖分である0.14mmo1/1を含む0.06-2.00 mm。1/1の濃度範囲でグルコースを定量可能(相関係数:0.997)であった。 今後は、電解液を本センサに内包することにより酸素センサとし、酸素検出型のグルコースセンサへと改良を行紆予定である。上記改良により、今後は眼部における涙液グルコースの連続計測など、非侵襲バイオモニタリングへの応用展開が期待される。
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