研究概要 |
本年度は, 昨年からの続きとして, 眼球運動に関連する脳波の抽出のための信号処理方法の検討と, その信号処理方法をどのようにオンライン処理用の信号処理手法として使用するかを検討した. 昨年度の結果よりFastICAが眼球運動に関連する独立な成分を抽出するのには適切であることが明らかになっている. この信号処理をオンライン処理するために, 観測信号のフレーム化を行い, その際の抽出確率を明らかにすることを試みた. 今回使用したフレームサイズは, 1000[ms], 750[ms], 500[ms], 250[ms], 100[ms]である. このフレームサイズの中でもっとも眼球運動に関連する脳波を抽出するために適切なフレームサイズは, 100[ms]であった. また, このフレームの中に眼電位からのノイズの影響を受けている脳波を使用した際と眼電位からのノイズの影響がない脳波を使用した際の結果を比較した. その結果, 眼電位からのノイズの影響がある脳波を使用した際には眼球運動に関連する脳波の抽出率が著しく下がることが明らかになった. そこで, 独立成分解析の中でも使用者が意図した信号を抽出することのできる独立成分解析であるFastICA with Reference signalを使用して, 眼球運動に関連した脳波の抽出を試みた. その結果, 適切な参照信号を利用することにより眼電位の影響を受けている脳波を使用した際でも, 眼球運動に関連する脳波を抽出することができた.
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