本年度は主にvitroでのES細胞とhTERT-TK、ガンシクロビル(GCV)の効果について検討を行った。具体的には下記の実験を行った。 (1)ES細胞に対するhTERT-TKのヌクレオフェクションによる導入効率を様々なプログラムについてFACSを用い検討した。 (2)hTERT-TKを導入したES細胞が骨芽細胞への分化能を維持できているか経時的に骨関連遺伝子の発現をRT-PCRで評価しカルシウム結節の形成をアリザリンS染色で評価した。 (3)ES細胞、hTERT-TKを導入したES細胞についてvitroでのGCVに対する反応をMTTアッセイで検討した。 (4)ES細胞の継代と分化に伴うテロメラーゼ活性についてreal-time PCRを行い検討した。 hTERT-TKプラスミドの導入効率は使用するプログラムで大きく異なり今回の検討で効率の良いプログラムの選択が可能になった。hTERT-TKを導入したES細胞は未処理のES細胞に匹敵する骨芽細胞への分化能を維持しており、遺伝子導入後も骨再生力を十分有していた。ES細胞はフィーダー細胞上で継代を繰り返してもテロメラーゼ活性が維持されていたが、分化に伴いテロメラーゼ活性の低下が認められた。またhTERT-TKの導入とGCVの投与によりテロメラーゼ活性の高い細胞の選択的な障害が可能であった。また正常の細胞に対してGCVの細胞毒性は低かった。これらの結果はhTERT-TKの未分化なES細胞の選択的な障害が可能であることを示唆している。来年度はこれらの結果を基に、vivoの実験で移植に伴う奇形腫形成の抑制効果について検討を行う予定である。 本年度の実績として、これらの結果を第5回日本再生医療学会、8^<th> international congress of the Cell transplant society、第33回日本臓器保存生物医学会にて学会発表を行った。
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