研究概要 |
【緒言】2種の異なる吻合システム(「フレキシブル型自動吻合器(SurgASSIST system ^<TM>)」および「手術用ロボット(da Vinci^<TM> Surgical System)による直接的な追加縫合」)を使用し,ブタを用いた基礎的実験を施行した. 【方法】ブタ(体重100kg程度)の下行大動脈新鮮標本に径22mmのDacron人工血管を端々吻合した.吻合法は吻合システムの選択により以下の2群にわけた.各群n=5とした. A群:SurgASSIST system ^<TM> (Power Medical Interventions, USA)単独群. B群:SurgASSIST system ^<TM>+da Vinci^<TM> Surgical System併用群. (da Vinci^<TM> Surgical Systemを使用し,吻合部に8針の追加縫合を施行した群). 【結果及び考察】評価方法として1)加圧バックを使用した吻合部耐圧試験を行った.媒体はアルブミン製剤を用いた.また2)大動脈に切開を加え吻合面を肉眼的・組織学的に観察し,動脈損傷・解離等の有無を検討した. 1)吻合は全例で成功した.吻合部の最大耐圧はA群で397.5±29.7mmHg,B群で414.6±32.1mmHgであった.B群で耐圧能が高い傾向を認めたものの,有意差は認めなかった. 2)両群共に吻合による明らかな動脈損傷や動脈解離は認めなかった. 以上よりSurgASSIST system単独でも十分な耐圧能が得られたが,da Vinci^<TM> Surgical Systemによる追加縫合により,動脈の損傷を伴わずにより確実な(安全な)吻合が得られる可能性が示唆された.現在は遠隔期(慢性モデル)検討を予定している.
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