研究概要 |
#1 下半身陽圧負荷心エコー法の基礎的検討 臨床的な目的で心臓カテーテル検査および左室造影(左室圧測定)を施行した心疾患患者3例において,下半身陽圧負荷中の,ミラー社製マイクロチップカテ先圧センター付きビッグテイルカテーテルを用いて左室圧を記録した.また,同時に心エコー・ドプラ法により僧帽弁口血流速波形を記録した.その結果,何れの例においても,下半身陽圧負荷により僧帽弁口血流速波形の拡張早期および心房収縮期波高が増大し,左室拡張末期圧が4±3mmHg上昇した. #2 下半身陽圧負荷心エコー法による心房細動例における左室拡張機能の評価 心房細動においては,左室拡張能の評価が困難である.我々は,慢性心房細動において下半身陽圧負荷(LBPP)を用いて前負荷を増大させ,その反応性が安静時の僧帽弁口血流速波形および僧帽弁輪運動速波形の拡張早期波高(E,Ew)により予測できないか検討した.非弁膜症性心房細動患者33例(71±11歳)を対象として,日立メディコ社製EUB-8500を用い,負荷前および負荷中のEおよびEwをDual Doppler法により30秒間計測した.同様に記録した左室流出路血流速波形の時間速度積分値の合計と流出路断面積から心拍出量を算出した.LBPPによる前負荷増大に伴って心拍出量が増加した正常反応群8例と,減少した悪化群25例の2群に分類できた.年齢,左室拡張末期径,左房径,左室駆出率,心拍出量,Eは両群で差を認めなかった.正常反応群と比較して悪化群では,Ewが有意に小(6.5±2.3vs.11.2±2.3cm/s),E/Ewが有意に大であった(15.4±2.5vs.7.3±1.9).悪化群のBNPは正常反応群と比べて有意に大であった.ROC分析により,E/EwおよびEwはLBPPに対する反応性を決定する規定因子であった.
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