研究概要 |
検査・診断システムにおいて近年注目されているエラストグラフィ技術は、組織への変形印加技術と、超音波や磁気共鳴イメージング(MRI)技術を用いた変形検出技術との組み合わせからなる。これら変形印加技術と変形検出技術を各々高度化・高感度化して硬さ分布を可視化できれば、微細な疾病部の超早期発見につながる。そこで本研究では、音響放射力により組織の標的変形が可能な超音波と、その変形を高感度に検出可能な潜在性を有するMRIに着目して両技術を組み合わせて最適化し、マイクロレベルで組織の力学的特性を計測・可視化する技術の開発を行った。 まず、音響放射力による組織変位をMRI技法により可視化するための手順及びパルスシーケンスについて、計算機シミュレーションにより検討を行った。また、加振により誘起された変位に基づく弾性率可視化法についても計算機シミュレーションにより検討を行った。その結果、微小変位に基づき、弾性率分布が可視化されることを確認した。 さらに、MRエコー受信に最適な特性を有するMRI受信コイルの設計及び製作を行った。また、微弱なMR信号を受信するために差動増幅器を導入した。MRI装置としては現有の動物実験用装置(Bruker, BIOSPEC 20/30,2 Tesla)を用い、非磁性の超音波プローブをガントリ内部に配置して計測対象に接触させ駆動した。寒天製ファントムを用いた実験を行い、変位検出の前段階として、照射位置または超音波音場が推定される可能性があること、及び超音波照射パワーに応じた音響放射力による変位が検出される可能性があることを見出した。
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