本研究の目的は神経変性疾患に対するコエンザイムQ-10やリハビリテーションの影響を三次元動作解析装置・床反力計・動的重心動揺計検査・電気生理学的検査(表面筋電図)などの計測機器を用いて定量的に評価・検討することにある。また、自覚症状・日常生活動作(ADL : Activities of Daily Living) ・QOL(Quality of Life)の改善の検討や高次脳機能障害を伴う疾患に対しては知能検査や遂行機能障害の検査を行い、多面的なアプローチにより検討する。 三次元動作解析装置では起居動作や歩行の変化を、動的重心動揺計では外乱に対するバランス・姿勢反射を、表面筋電図では動作時や外乱時に起こる筋活動について測定を行う。 今年度は、パーキンソン病患者を主な対象とし、三次元動作解析装置により歩行の状態を速度・歩幅・床反力・歩行や起居動作時の関節角度の変化で評価し、動的重心動揺計を用いて姿勢反射障害の定量を行った。これに加え、リハビリテーションの即時効果についても検討をおこない、即時効果と高次脳機能障害との関連について検討した。前頭葉機能検査のスコアの高い群と低い群を比較すると、身長に対する歩幅や歩行速度の割合について、高い群ではリハビリテーション前と比較してリハビリテーション後に有意な改善が認められたのに対し、低い群では改善が認められなかった。非運動症状である前頭葉機能障害と運動機能障害に対するリハビリテーション即時効果との関連が示された。
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