研究概要 |
本研究は,リハビリテーションに重要な運動学習について,動物モデルを作り,脳神経科学の証拠に基づいて明らかにする.また,得られた成果に基づき,障害者の治療・訓練技術の確立のための基礎研究とする.そのために,近年の運動学習に関連のあるとされるドーパミン,セロトニン,ノルエピネフリンの脳内神経修飾を調べ,運動学習の仕組みを明らかにすることで,リハビリテーションの効果を示すこと,技術的な発展のための基礎研究とする脳神経科学の証拠を示すことである. 本年度は,運動学習獲得へのドーパミン,セロトニン,及びノルエピネフリン系の相互作用と関連脳部位について検討した.運動学習を獲得には,これまでの実験結果からシェービング(行動形成)後,30回(1日に1時間の実験)程度で獲得(加速度波形の相互相関係数が0.6以上で収束)できることから,各薬剤の投与期間は実験開始から10日,20日の連続投与の2群を設定した.休薬後,20回の実験を行い,その後の運動学習の変化を検索した.実験動物(ラット)に投与するドーパミンやセロトニンのアンタゴニストとして薬理作用がそれぞれ異なるハロペリドール,クロザピンの2剤とノルエピネフリンを使用した.各投与期間に6匹の実験動物を準備し,コントロールと併せて8群の計48匹を用いた. その後,運動学習を獲得した実験動物(同一のラット)に投与するドーパミン系のアンタゴニストとしてハロペリドールをまたセロトニン系のアンタゴニストとしてクロザピンを用いて,その薬理作用から運動学習に対する影響を検索中である.
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