研究概要 |
本年度は研究計画に従って,9週齢雄性ラットにおける脱神経横隔膜モデルを作製し,脱神経横隔膜の変化と過負荷された横隔膜の影響を分析する目的で以下のとおり実施した。 (1)脱神経横隔膜モデルの作製とトレッドミル走行の実施 脱神経モデルは十分に麻酔がかかっていることを確認後,頸部腹側より正中切開し,横隔神経を露出し切除した。術後1週より本学所有の小動物用トレッドミルを使用し,Gilletteらの運動プロトコルを参考に、速度20m/min,40分間,傾斜なし,6日/週,4週間のトレッドミルによる運動負荷を開始した。 (2)組織標本の採取と分析 実験終了後,各群の横隔膜を採取し,生理学,組織化学,生化学的特性を分析した。当該年度に行なった実験によって得られた知見は,脱神経横隔膜は先行研究と同様にSO線維,FOG線維横断面積の増大が認められた。また走行運動を負荷することにより脱神経横隔膜はFG線維を増大させる傾向が認められた。また,対側のintactな横隔膜は筋線維横断面積に有意な差は認められなかったものの,fastest MHCであるMHC2bやMHC2dに相対的増加の傾向が認められた。 (3)サンプル数の追加 現在,実験を行なった個体数は6匹であり,予定サンプル数に達するところまで実験を行ない,さらに明確な知見を得る予定である。 (4)老齢ラットの飼育 老齢ラットにおいては平成18年度より飼育し,当該研究で使用する週齢まで飼育を行なう予定である。使用週齢に達した時点で脱神経横隔膜モデルを作製し,走行運動を実施する予定である。 このようなデータの結果を踏まえ最終年度となる平成19年度は老齢ラットに対する知見を得て,年齢の違いが脱神経横隔膜の変化と走行運動による横隔膜のトレーナビリティについてさらに検討を進めたい。
|