1.他者感情理解課題を用いた感情認知の発達 聴覚障害者・児の他者感情理解について調査する際の統制群として、健聴成人・児を対象とし、既存の他者感情理解課題(The Reading Mind on the Eyes Test)の日本語版を作成し、実験を行なった。正常範囲内の言語発達を示す3歳から15歳の児童および18から21歳の健聴成人を対象とし、他者感情の認識が、発達年齢に伴って上昇することを示した。 2.健聴児の発達段階の測定 他者意図理解課題遂行には、児童の言語発達段階が大きく影響することが示唆されている。また、健聴児と、難聴児や発達障害児を比較するとき、発達段階を考慮にいれる必要がある。そこで、既存の発達段階テスト(PVT語彙獲得検査・ITPA言語学習検査など)を用いて、実験に参加した児童が、生活年齢に応じた言語学習年齢を獲得しているか、確認している。 3.障害児の記録 広汎性発達障害児(診断あり)・軽度発達障害児(診断なし)各1名を対象とし、健聴児と同様の検査を行なった。広汎性発達障害児は他者意図理解課題の遂行が困難であることが知られているため、聴覚障害児との対照群として、また軽度発達障害児は言語発達遅延が各課題に及ぼす影響を検討するために、各障害児に対しても同様の発達検査を実施している。 4.感情刺激の作成 感情を伴う顔画像および音声・発話の記録・加工技術について、情報収集中である。
|