研究概要 |
本研究の目的は,(1)短期間の不活動によって筋量が変化しない場合でも筋内受容器の感受性変化あるいは循環中枢内での神経性変化などによって減弱するか,(2)筋萎縮が生じる長期間の筋不活動によって,骨格筋内受容器から生じる反射性循環応答は短期間の不活動の場合と比較してより減弱するかを明らかにすることである. H18年度の研究計画は,筋萎縮を伴わない短期間の不活動が筋からの反射性循環応答に与える影響を調べることとした.そのためには,(1)骨格筋の不活動を引き起こす方法の確立,(2)不活動期間の決定,(3)短期間の不活動が筋からの反射性循環応答与える影響の検討に至る3つのステップが必要であった.骨格筋の不活動を引き起こす方法は,当初不活動状態にする片側下肢をハーネスで吊り,松葉杖で生活することを想定していたが,転倒時の危険等から中止した.代替方法として,片側の靴底を補高した状態で松葉杖歩行を行い,補高と反対側の下肢を免荷状態にすることによって不活動状態にする方法を採った.この方法を用いて生活を行い,MRIを用いて下肢の筋横断面積を測定した.その結果,不活動1週間後には筋萎縮は生じないが最大随意筋力は低下した.不活動3週間後には筋萎縮が生じるとともに最大筋力も低下した。したがって,短期間の筋不活動期間は1週間とした.また,H19年度行う予定である筋萎縮を伴う長期間の筋不活動期間は3週間と決定した.短期間の不活動が筋からの反射性循環応答に与える影響については検討するに至らなかった.したがって,H18年度は上記3つのステップの内,(1)および(2)を達成し,(3)が未達成な課題として残った.H19年度は残された課題を行うとともに,H18に予備検討した結果から決定した長期間の筋不活動が筋からの反射性循環応答に与える影響を調べる予定である.
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