研究概要 |
事故や疾病などにより失われた手の機能を代行するものとして筋電義手(筋電位信号により開閉動作の制御を行う)が開発されている.申請者は,「義手が元の手が持つ特性を備えていれば,切断者が元の手と同じ様に義手の制御が可能となる」との観点から,ヒトの手の神経-筋制御機構の動特性と感覚情報伝達機能を備えた高機能筋電義手の実用化を目指している.本申請では,筋電義手のための皮膚電気刺激を用いた感覚情報伝達システムの開発を目的とする. 本年度は昨年度計測したヒトの指の皮膚の力学特性の結果を基に,ヒトの指腹部の皮膚と同じ様な柔軟な義手人工指先部を試作した.指先部はアルミ平板上にかまぼこ型の指腹部を超軟質ウレタン樹脂とポリエチレン樹脂の薄膜を用いたものである.試作した人工指先部をヒトの指腹部と同様に歪み-応力関係を計測し,ヒト指腹部とほぼ同じ特性を有していることを確認した. また,物体把持の状態(義手で物体を把持しているか否か)を皮膚電気刺激により伝達する感覚情報伝達システムを試作した.本システムは2チャンネルの表面電極を用い,仮現運動により皮膚上をなぞるような感覚を使用者に提示するものである.本研究では本システムで提示する刺激のパターンを作成した.そして,健常者を用いた提示実験を行い,認識可能であることを示した.
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