研究概要 |
前年度に引き続き,今年度は「作品」の意味内容およびその伝承方法に関する詳細な聞き取り調査を実施した。以下に今年度の成果および次年度の課題を記す。 1.成果 (1)琉球舞踊における流会派の系譜-伝承の実態-今年度は志田房子氏(沖縄県指定無形文化財保持者)に焦点をあてて伝承の系譜を聴取するとともに,芸歴書や映像資料,公演プログラム,新聞評,写真等の資料収集と記録,データベースとして公開するためのデータ項目を検討した。志田氏は「作品」ごとに10名の師から教えを受けていた。各師から「作品」の意味内容に即した表現方法を学んだことから,芸域の拡大と深化につながったと考えられる。本調査の結果を日本体育学会スポーツ人類学分科会にて口頭発表し,『ポーラ伝統文化振興財団助成事業報告書』にまとめた。 (2)伝承の実態に関する聞き取り調査の意義上記の結果を踏まえ,琉球舞踊の「作品」および「動作単元」を流会派で比較する際には,伝承の実態に関する詳細な聞き取り調査が必須であるといえる。調査の意義と協力依頼を,実演家向けの雑誌に論文として投稿した。→「沖縄舞踊にみる記録法の展開と課題」『沖縄芸能協会40周年記念誌』 2.次年度の課題 これまで作成してきた「動作単元」データベースに,伝承の実態に関する聞き取り調査の記録「オーラル・ヒストリー」データを加えた総合的なデータベースの構築をはかりたい。付記:本研究テーヌの主たる助成は科研費より得ているが,一部のインタビュー調査および映像保存作業についてはポーラ伝統文化振興財団より支援を受けた。
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