【研究目的】 本研究は冒険教育プログラム参加者の心理的プロセスモデルを作成するために、特に自己効力感に焦点をあて事例検討をおこなった。質的アプローチの中でも手続きが体系化されているグラウンデッド・セオリー・アプローチを用い、"自己効力感が向上した参加者はどのような体験をしているのか? "というリサーチ・クエスチョンのもと、体験プロセスモデルの生成を通して参加者の心理的変化を明らかにすることを目的とした。 【研究方法】 2週間の冒険教育プログラムに参加した9名の中学生を対象とした。データは自己効力感尺度と、参加者の内省記録と筆者の観察によるフイールドノーツをデータとして収集した。自己効力感尺度の得点をもとに、プログラム前後の変化量が大きい3名と小さい2名の計5名を事例研究の対象とした。分析は質的コード化の技法を参考に分析を行った。 【研究結果】 自己効力感が向上した参加者には次の7つの特徴が見られた。成功体験を導くプロセスにはグループに対しての主体的な関わり、リーダーシップの発揮、新たな技術の習得、責任感の強い取り組み、また自分自身に対する反省的な見方からの行動変容の5つの特徴が見られた。そして豊富な成功体験があることとプログラム後における体験の意味付けが自己の内面に向けられていることである。
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