本研究では、イスラム社会において、スポーツ教育はどのように捉えられているのか、その特質性はどのようであるのかといった点を、アラブ諸国と非アラブ諸国を事例にしつつ、明らかにしようとすることである。特にこれらの国々の社会制度や学校教育制度の中でスポーツはどのように考えられているのか、また、今後どういう方向でスポーツが振興されようとしているのかについて多面的な方向から検討しようとした。アラブ諸国では、シリア、ヨルダン、エジプト、モロッコ、チュニジア、非アラブ諸国ではインドネシア、バングラディッシュ、マレーシア、モルディブをそれぞれ対象としている。尚、これらの国々は、青年海外協力隊の派遣実績のある国である。 本年度の調査活動により、アラブ諸国の国々については必要な資料を入手することが出来た。不足した部分、或いは解読不能な資料等については、平成19年2月にシリア、ヨルダンで現地調査を行い、情報入手及び、翻訳作業などを実施した。現在、最終確認を実施している段階であるが、各国において、社会的背景に反映されたスポーツ教育システムの特質性が浮き彫りとなりつつある。 また、本年度は上記作業と並行的に、非アラブ諸国である、インドネシア、バングラディッシュ、マレーシア、モルディブなどの身体教育事情のデータを収集する作業を行った。これらの国の社会的背景や教育概要などは整理できつつあるが、核となる身体教育事情のデータについては、19年度にさらに研究を進捗させたいと考えている。 本研究の最終目的は対象国への国際協力を行う上での示唆を得ることであるが、本年度はこれまでの開発途上国への国際協力の実態を整理し、論文投稿を行ったところ、掲載された。
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