本研究は、体育授業中の学習者の動きを映像によって即時的にフィードバックし、しかも、自分の動きを再生するだけではなく、モデルとなる動きと様々な観点から比較して、技術のポイントに思考を加えながら視覚的に運動技術の改善を図ってみようとするものである。そして、このような学習過程を辿った子どもたちの運動技術の様相をさらに詳細にするために、バイオメカニクス的手法である動作解析により定量的に解析して、運動技術の学習に生かすことのできる基礎的な資料を得ようとしている。対象は運動技術の変化を捉えやすいであろう個人的技能で技への挑戦という特性を持った陸上運動(競技)とした。 本年度は、学習者の実態を把握するために、前年度に撮影された12歳と16歳の児童・生徒を対象として行われた体育授業における走幅跳の運動技術の様相を動作解析により定量的に捉えてみた。その結果は、平成18年度高等専門学校教育教員研究集会及び九州体育・スポーツ学会第55回大会で発表した。そして、モデルとなる一流選手の映像を撮影するためにいくつかの大会等に参加して、技能レベルが高いと思われる競技者のビデオ映像などを収集した。 動作解析などのスポーツ工学を専門とされている井上伸一氏(佐賀大学)には、バイオメカニクス的側面からの専門的な知識を提供していただくとともに、授業のなかで映像を活用するための機器に欄する工夫や、複雑で膨大な作業時間を要する解析過程を簡便化するための方法などについて助言を1いただいている。また、特に一流選手の陸上競技研究を専門とされている有川秀之氏(埼玉大学)や、体育授業研究に精通している高田俊也氏(兵庫教育大学)からも専門的知識を提供していただいた。
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