研究概要 |
本研究課題では,歩行能力に影響する因子が,従来,関節柔軟性の指標として用いられている関節可動域であるのか,もしくは筋や関節の機能特性として近年頻繁に用いられるようになったスティフネス(硬さ)であるのかを検討することを目的としている. そこで,平成18年度前半には,主として本研究における方法論の確立を行った.すなわち,下腿三頭筋におけるスティフネスを効率的に定量するための方法論およびシステムの構築と歩行能力の定量と評価を行った. 具体的には下腿三頭筋を,超音波法を用いて測定する際,足関節の固定方法の妥当性と信頼性の検討を行った.これにより,足関節のスティフネスを高い再現性をもって測定することが可能となった.また,歩行能力の定量評価については,10mを走行するのに要する時間から求める平均歩行速度,その際の力学的変数である地面反力,パワーおよび仕事量を測定するシステムの構築をおこなった.これにより,比較的簡便かつ連続的に歩行能力を定量評価することが可能となった. さらに平成18年度後半には,先に述べた測定システムを用いて,大学生を中心とした若年者14名を被験者として測定システムの試用に取り組んだ.その結果,いくつかの問題点が挙げられたため,問題点の検討と改善を行った.これにより,平成19年度には多人数を対象として,関節のスティフネスと関節可動域のいずれが歩行能力に影響をおよぼしているかを検討するためのデータの取得が可能となったと考える.
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