研究課題
「高炭酸ガス吸入による呼吸循環亢進作用」をスポーツ・健康科学の分野へ応用するため、本年度は、高炭酸ガス吸入下における運動時の呼吸循環応答についての基礎資料を得ることを目的として研究を遂行した。自転車エルゴメーターを用いた漸増負荷運動を基本的な実験プロトコールとし、吸気中の炭酸ガス濃度3%、0.03%(空気)の2条件下(酸素濃度はいずれも21%)でデータ収集した。被験者は健康な成人男性であった。結果、以下の2つが成果としてあげられる。1)最大運動パフォーマンスは2条件下で同様であった。最大運動時の呼吸循環応答は、吸気中の炭酸ガス濃度が3%の場合、空気吸入下と比較して、換気量と終末呼気CO_2濃度が高くなり、酸素換気当量は低下することが明らかになった。心拍数には有意な差は見られなかった。2)漸増負荷運動時の呼吸循環応答は、吸気中の炭酸ガス濃度が3%の場合、空気吸入下と比較して、運動前から運動終了まで換気量と終末呼気CO_2濃度は常に高かった。運動強度が最大運動時の75%程度から、二酸化炭素排出量が低くなった。また、胸部インピーダンス法を用いて測定した心拍数と一回拍出量で有意差は見られなかったものの、心拍出量が有意に低い値を示した。3%CO_2吸入下では、最大運動パフォーマンスに劇的な減少が無いこと、運動強度が最大運動時の75%程度から肺ガス交換、心拍出量に特異的な応答が観られることから、呼吸・循環機能の改善を目的として高炭酸ガス吸入をスポーツ・健康科学へ応用する場合、吸気中の炭酸ガス濃度は3%とし、運動負荷は最大運動時の75%程度が効果的であると考えられる。
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The 1st Joint Conference of Chukyo University and Chinese Culture University, Book of Abstracts
ページ: 12
12th Annual Congress of the European College of Sport Science, Book of Abstracts
ページ: 396