本研究の目的は、文部科学省生涯学習政策局が半成18年度まで推進していた「地域子ども教室推進事業」に注目し、青少年健全育成にかかわる事業が、単に委託事業遂行のためだけに図られるのではなく、地域スポーツ振興政策といかに連携・協力を行っていくことが重要であるかということを明らかにする。つまり、事業実施を起点に事業終了後も地域をベースにした青少年の成長を見守り、育むための新しいスポーツ振興システムを地域内にいかに創出していくのかという地域の変容を捉えることを目的としている。具体的には、文部科学省スポーツ・青少年局が進める総合型地域スポーツクラブ育成推進事業との協働型まちづくりを促進するための政策と事業の連携のあり方や、またそれによって地域に創出される組織間連携や協働意識を高める組織開発やシステム構築のための様相を紐解く。 平成18年度に終了した「地域子ども教室推進事業」を継続する形で、「放課後子ども教室推進事業」に取り組む自治体(組織)に対して実施した調査によると、総合型地域スポーツクラブが市内に設立されている地域は全体の3分の1で、総合型地域スポーツクラブが事業に協力・連携しているケースは全体の約1割に留まった。実際の活動では運動・スポーツはもちろん、伝承遊びなどを含めた身体活動が多く、クラブとの協力・連携により地域に与える効果は大きいものと期待されるが担当部署が生涯学習課など、総合型地域スポーツクラブとはあまり関わらない部署であることが要因の1つであると考えられる。今後は、行政と地域それぞれの横のつながりの強化が期待される。(本調査は、各団体を通じた事業実施分を除いた結果である。)
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