研究概要 |
本研究は、文部科学省生涯学習政策局が平成18年度まで推進していた「地域子ども教室推進事業」と平成19年度から新しく始まった「放課後子どもプラン推進事業」に注目し、青少年健全育成にかかわる事業が、単に委託事業遂行のためだけに図られるのではなく、事業実施を起点に事業終了後も地域をベースにした青少年健全育成のための新しい地域スポーツ振興システムを地域内にいかに創出していくのかという地域の変容を捉えることを目的としている。具体的には、文部科学省スポーツ・青少年局が進める総合型地域スポーツクラブ育成推進事業との協働型まちづくりを促進するための政策と事業の連携のあり方や、またそれによって地域に創出される組織間連携や協働意識を高めるための様相を紐解く。 今年度は、平成18年度事業終了後から2年が経過した現在の事業状況を把握するために、全国の1,318実施市町村実行委員会に対して「地域子ども教室推進事業」事業終了後の動向に関する第2回追跡調査を郵送法により実施した(有効票本数662は、回収率は50.2%)。その結果(()内は平成18年度第1回調査結果)、継続に関しては、「放課後子ども教室推進事業に取り組む」が71.8%(49.4%)と増加し、「市町村独自の予算措置により事業を継続する」が9.2%(15.8%)、地域住民が中心となって実施する」が3.1%(5.1%)、参加者に活動費を負担してもらい、NPOや社会教育団体などが中心となって実施する」が2.1%(3.5%)となった。非継続に関しては、「終了するが、今後の取り組み決まっておらず、これから検討する」が2.8%(12.4%)、「終了し、検討もしない」が3.7%(1.9%)、「その他」が6.1(11.8%)であった。また、総合型地域スポーツクラブが市内に設立されている地域は48.0%(29.1%)と増加傾向にあるが、事業とクラブが協力・連携している地域は7.8%(7.1%)と横倍であった。つまり、総合型地域スポーツクラブの育成は少しずつではあるが進んでいるものの、青少年健全育成事業との事業間連携および組織間連携は進んでいない現状が明らかになった。
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