前年度の実験によって、「高齢者の単純反応時間と選択反応時間、全身反応時間は若年者よりも顕著に遅延すること」と「高齢者の一致タイミング能力は若年者よりも顕著に低いこと」、しかしながら「エイシングによって低下したこれらの能力はストレッチング等の軽運動のトレーニングによってある程度は回復可能であること」などの知見を得ることができた。さらに、若年者の知覚-運動スキル学習に対して有効であった「漸減要約フィードバックが高齢者に対してはその有効性がほとんど認められなかったこと」が明らかとなった。 本年度では、本研究から得られたこれらの知見を研究実施計画にしたがって、本研究に関連する学会において研究発表を行い、原著論文の執筆・投稿を行った。「知覚-運動スキルに対するエイジングの影響」に関する研究成果については国内外の学会において研究発表を行い、を行い、高齢者の自動車の運転スキルの安全性という観点からも評価を得ることができ、原著論文として発表することができた。また、「高齢者の知覚-運動スキル学習に対する漸減要約フィードバックの効果」についても学会発表を行った。特に、この漸減要約フィードバックの学習効果が若年と高齢者で逆になるという結果はこれまでの研究ではほとんど報告されておらず、知覚-運動スキル学習に対するフィードバック情報の利用方法等がエイジングの過程で変化している可能性を示唆した。今後の課題として、この「若年者と高齢者とでは漸減要約フィードバックの学習効果が異なる原因」を解明することによって、高齢者の知覚-運動スキル学習に最適なフィードバック情報の提示方法を明らかにすることができ、高齢者の知覚-運動スキル学習に最適なフィードバック情報の提示方法を明らかにすることができ、高齢社会を迎えた現在の日本の高齢者の社会の活動的促進やQOLの向上に貢献できると考えられる。
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