平成18年度は、以下の運動・抗酸化物質投与実験を行った。 1.運動実験:実験には4週齢Wistar系雄性ラットを用いた。ラットはコントロール群(C)とトレーニング群(TR)に分け、トレーニングは週5日、最終運動強度30m/分、90分のトレッドミル走行を9週間施した。チオバルビツール酸反応物質(TBARS)で測定したTRラットの内蔵白色脂肪組織中の活性酸素量は、Cラットのそれに比べて有意な低値を示した。逆に、TRラットの脂肪組織中の抗酸化酵素EC-SODのタンパク量は増加傾向が観察された。さらに、脂肪細胞の炎症作用に関与するmonocyte chemoattractant protein-1 (MCP-1)の遺伝子発現と脂肪組織中のタンパク量は運動トレーニングによって減少した。これらの結果から、運動トレーニングにより内蔵脂肪の酸化ストレスが減少し、これによりTNF-αのシグナルも変化する可能性が示唆された。 2.抗酸化物質投与実験:6週齢の雄性マウスを高脂肪食単独摂取群、高脂肪食+ライチ由来新規低分子化ポリフェノールOligonol(100mg/kg/日)摂取群とコントロール群に分け、5週間後に副睾丸周囲白色脂肪組織重量、活性酸素量とアディポサイトカイン遺伝子の発現変化を測定した。高脂肪食単独摂取群の副睾丸周囲白色脂肪組織重量と活性酸素量はコントロール群に比べて有意な高値を示したが、高脂肪食+Oligonol摂取群では、それぞれの増加が高脂肪食単独群と比べて有意に抑制されていた。さらに、高脂肪食単独群の脂肪組織でみられたTNF-αなどのアディポサイトカイン遺伝子の発現異常が高脂肪食+Oligonol摂取群では軽減された。これらの結果から、Oligonolは脂肪細胞において抗酸化作用を示し、アディポサイトカイン遺伝子の発現制御作用も有することが示唆された。
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