研究概要 |
近年、老化の有力な原因の一つとして、ミトコンドリDNA (mtDNA}の障害が報告されている(Wallace et al.1997.)。また、このDNAが突然変異を起こすことによって、老化だけではなく、様々な疾病が起こるとも報告されている(Wallace et al.1992.,Kang et al.2005.)。これらのことから、長寿とmtDNAの変異には強い関連があると考えられるが、ヒトにおいて長寿とmtDNAに関係した報告はほとんどみられない。本研究では、mtDNA突然変異率と長寿の関連を明らかにすることを目的とする。 結果 ・mtDNA突然変異には点突然変異及び欠失(deletion)があるが、mtDNA点突然変異のスクリーニングを行うために、Single Strand Conformation Polymorphism (SSCP)法を試みた。A3243G変異をもつDNA及び野生型のDNAを用いて、PCRによりmtDNA断片を増幅した時に突然変異の位置が、中央、3'端、5'端、3'、5'端それぞれの1/5の位置にくるようにプライマーを設計し、突然変異がSSCP法により検出できるかを調べた。その結果、いずれの場合においても突然変異を検出することができ、これにより突然変異のスクリーニング法を確立することができた。 ・mtDNA deletionを見るためにmtDNA全長を増幅し、全長である16Kb以下に増幅されたDNA (mtDNA deletion)の本数を調べた。奄美地区の65歳以上から抽出したDNA129サンプルについて調べたところ、mtDNA deletionとみられるバンドが0本から6本まで検出された。
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