研究概要 |
本年度は, 「介護予防サービス」を実施する現場のスタッフが実際に利用できるITを活用した身体機能評価や運動プログラムを提案するシステムを構築し, 運動指導を容易に行える環境づくりを行うことを目指した. まず, 少数項目からなるテストバッテリの作成を行なった. 在宅高齢男性110名(平均年齢76.6±7.1歳), 女性589名(平均年齢74.1±7.9歳)を対象に身体機能の測定を行った. 測定は要支援者への適応可能性を考慮し, 以下の項目を選択した. (1)「歩行」に関係するもの(Up & Go, 10m歩行, 8の字歩行),(2)「器用さ・すばやさ」に関係するもの(豆運び, ペグ移動, 落下棒反応),(3)「力強さ」に関係するもの(握力, 上腕腕屈伸, 椅子立ち上がり回数, 起立時間), (4)「バランス・柔らかさ」に関係するもの(長座体前屈, 開・閉眼片足立ち, ファンクショナルリーチ, 最大1歩幅, つぎ足歩行). 各テスト項目の簡便性や普及性, 安全性などを考慮した結果, 4項目で身体機能を評価するテストバッテリを作成し(Up&Go, ペグ移動, 椅子立ち上がり回数, 最大1歩幅), 対象者へのフィードバックやライフスタイルの変容に主眼をおいた評価尺度(身体機能年齢)を作成した. 【男性】Y=1.151 X1-0.335 X2-0.325 X3-0.144 X4+0.411 CA+71.19 【女性】Y=1.079 X1-0.369 X2-0.387 X3-0.147 X4+0.300 CA+80.14 ただし, Y=身体機能年齢, X1 : Up & Go, X2 : ペグ移動, X3 : 椅子立ち上がり回数, X4 : 最大1歩幅, CA : 歴年齢である. 次に, 上記の結果に基づき, 4項目のテストバッテリを測定し, その結果をパソコンに入力することで, 身体機能が評価でき, 家庭でも実施可能な運動プログラムを写真や動画などで提供するシステム(Webサイト)の構築を試みた.
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