研究概要 |
我々は,平成18年度において,中等度身体活動の延長が下肢筋力の確保向上に有効であること示唆する結果を横断的研究から得た.そこで,平成19年度は,中等度身体活動の延長策に関する縦断的調査を行った. 研究対象は,30名の中高齢者であった.被験者は,無作為に,加速度計付歩数計(NL・1000)を装着する実験群,もしくは,歩数計を装着する対照群に分けられた.1週間の観察期間ののち,3週間にわたり,中高強度群は中高強度身体活動を毎目30分以上行うこと,歩数群は毎日10000歩以上歩くことを指示された.その結果,1日当たりの歩数は,両群ともに有意に増加し,交互作用(群×時間)が認められなかった.一方,中等度身体活動の時間は,実験群のみが有意な延長が認められた.中等度身体活動のMETsも,実験群のみが有意に増加し,交互作用を認めた.また,身体活動の強度ごとの構成にも,実験群についてのみ有意な変化が認められ,低強度時間の割合の低下および中等度時間の割合の増加が認められた.これらの結果から,本法で用いた加速度計付歩数計の装着は,中等度身体活動の延長を支援しうると考えられた.従って,平成18年度に得られた研究成果と合わせれば,本研究で用いた,加速度計付歩数計の装着には,中等度身体活動を延長し,下肢筋力向上をも期待できると考えられる. 平成20年度は,平成19年度に開発した中等度身体活動延長策が下肢筋力向上に対する影響を明らかにするための縦断的調査を行う見込みである.
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