(目的)近年、ヒトにおける1H・MRSを用いた骨格筋細胞内脂質(IMCL;intramyocellularlipid)の定量的評価が可能となり、細胞内脂質とインスリン抵抗性の関連が明らかにされてきた。また、MRIによりT1、T2を測定することで骨格筋線維組成を推測する方法が検討されてきた。そこで今回我々は従来のIMCLに加えて、T1、T2の測定を行い、それぞれのパラメーターの関連性や骨格筋のインスリン感受性との関連性について検討することを目的として研究を行った。 (対象及び方法)本年度の被験者は、20歳台の健常男性18名であった。それぞれの被験者に対してMRI測定装置(東芝VISARTEXV4.40)を用いて、前脛骨筋(TA;tibialisanteriormuscle)、ヒラメ筋(SOL;soleusmuscle)におけるIMCL、T1、T2を測定した。また、高インスリン正常血糖クランプ法(目標血糖値95mg/d1、インスリン注入速度100mU/m^2/min)による骨格筋のインスリン感受性の評価を行った。 (結果)SOLではTAに比較して約3倍のIMCLが観察された。T1値はTAとSOLには有意差を認めず、GIRやIMCLとの相関を認めなかった。T2は、TAでSOLに比較して有意に低値であった(P<0.0001)。T2とGIRとは有意な相関関係を認めなかったが、IMCLと有意な正の相関を認めた(r=0.70、P<0.0001)。 (考察)T2値が骨格筋の部位やIMCLを検出するマーカーとなりうる可能性があることが示唆された。
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