本研究では、(1)要介助高齢者(施設入所高齢者)の急性期における日常生活動作能力(ADL能力)回復のリハビリテーションとして、随意的な筋力発揮調整課題の有効性について検討すること、(2)力発揮を伴わない課題として、関節角度の随意的な調節を利用した運動課題を作成し、ADL能力回復のためのリハビリテーションとしての有効性を検討すること、を主な目的としている。 本年度は、ADL能力回復のためのリハビリテーションとしての両運動課題の有効性についての検証を進めることを目的とし、随意的筋力発揮調整運動課題を用いたリハビリテーションの継続的実施、および昨年度開発した関節角度の随意的調整を利用した運動課題の予備的実施を計画した。 随意的筋力発揮調整運動課題については、昨年度から継続的にデータを収集している。その一部として、脳血管疾患患者に対する測定時の信頼性について、学会にて発表した。 また、関節角度の随意的調整を利用した運動課題に関しては、当初、昨年度開発した測定システムを用いたリハビリテーションを計画していた。しかし、測定システム上の問題点が認められたため、今年度は、まず、測定システムの改良に時間を割くことを強いられた。結果的に、測定システムを改良し、改良後の測定システムを用い、若年者に対する予備的なデータ収集(予備的な測定の実施、測定値の信頼性の確認等)を実施した。 来年度は、関節角度の随意的調整を利用した運動課題に基づく本格的なリハビリテーションを実施し、ADL能力回復のための両随意的調整運動課題の有効性について検証する。
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