研究概要 |
近年、高血圧症や糖尿病などの生活習慣病の有病者および予備群が増加していることから、わが国の生活習慣病対策を推進していく上で、国民一人ひとりが身体的に活動的なライフスタイルを採択、継続していくことは重点課題のひとつといえる。本研究の目的は、健康増進を目指した身体活動・運動の採択,維持を目的とした,参加者の動機づけ段階に応じた行動変容プログラムを開発することである。初年度の平成18年度は、関連文献の収集と整理、簡易版身体活動動機づけ評価尺度の作成、保健行政関係者へのヒアリングを行った。現場での適用を考えた場合、簡便に対象者の動機づけ段階を判別できる簡易版身体活動動機づけ評価尺度を作成する必要があった。まず、先行研究をふまえて、専門家によって質問項目を精選した。次に、尺度の妥当性を検討した。妥当性の検討には、主観的データとして、運動セルフ・エフィカシー尺度、運動に関する意思決定のバランス尺度、および身体不活動意図尺度を、客観的データとして、加速度計測装置付歩数計(スズケン社製ライフコーダEX)によって測定された一日の平均歩数を用いた。大学生79名を対象に、簡易版身体活動動機づけ評価尺度と主観的データとの関連を検討した結果、運動セルフ・エフィカシーおよび意思決定バランスの恩恵因子と有意な正の相関が、意思決定バランスの負担因子および身体不活動意図と有意な負の相関が認められた。簡易版身体活動動機づけ評価尺度と客観的データとの関連は、大学生42名を対象に一日の平均歩数との関連を検討した結果、有意な正の相関が認められた。これらの結果から、簡易版身体活動動機づけ評価尺度における一定水準以上の妥当性を確認した。しかしながら、作成した尺度の回答に対する若干の偏りが見られたことから、より高い精度を確保するため、質問項目への回答方法を再検討する必要性が示唆された。
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