研究概要 |
本研究の目的は、健康増進を目指した身体活動・運動の採択,維持を目的とした、参加者の動機づけ段階に応じた行動変容プログラムを開発することである。初年度の平成18年度は、関連文献の収集と整理、簡易版身体活動動機づけ評価尺度の作成、保健行政関係者へのヒヤリングを行った。 最終年度の平成19年度は、作成した簡易版身体活動動機づけ評価尺度を用いて、自律の程度を示す動機づけの方向性を構成要素に含む自己決定理論と行動変化のステージを構成要素に含むステージ理論を統合し、プログラム参加者の動機づけ段階に応じた運動行動変容プログラムの開発を行った。運動行動変容プログラムは、適用可能性を高めるための健康関連職従事者に対するヒヤリング、および参加者に対するフォーマティブ・リサーチをふまえて開発された。開発したプログラムは、中高年女性を対象に、医師によるメディカルチェックを行った後、1カ月間の介入プログラムを実施した。動機づけ段階に応じた運動行動変容プログラムを実行するため、参加者は、尺度の評価にしたがって、4つのセグメント(運動定着型、運動再開型、逆戻りリスク型、および運動非定着型)に分類された。介入の効果は、ライフコーダによって測定された身体活動量、DEXAによる体組成および骨密度、運動に関する意思決定バランス、運動セルフ・エフィカシー、参加者に対する個別インタビューなどで評価された。その結果、プログラム参加者による身体活動介入の評価は、おおむね良好であることが分かった。また、プログラム参加前後の比較によって、身体活動量の増加が認められた。 今後、幅広い対象者で開発したプログラムを実施し、エビデンスを蓄積することによって、効果的な身体活動促進プログラムの展開が可能になると思われる。
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