明治20年代からおよそ昭和20年代までに仙台地方で生産された染物である常盤紺形染と常盤紺形以降生産された浴衣・手拭の型紙文様の収集とデジタルデータ化、電子修復を行っている。 平成19年度は、これまでにデジタルデータ化していた公的機関(仙台市博物館)所蔵の常盤紺形型紙464枚に、今回新たにデジタルデータ化した常盤紺形染見本4反、馬の腹掛3点を加えて、文様名の特定を行い、データの整理・分類・電子保存、さらに、文様の破損箇所については電子的修復を行い、「仙台型染資料集II」(161頁、掲載資料数550枚)を作成した。 一方、浴衣・手拭い型紙については注染用型紙141枚と型紙図案10枚について文様のデジタル化を行った。注染用型紙は大型であるため、詳細な画像を電子的に保存することが困難であるが、本年度はA3判まで読み取り可能なネットワークスキャナを用いてスキャングを行うことで効率的な電子保存を行うことができた。 今回デジタルデータ化した型紙のうち、破損・欠損箇所のあるものは46.6%であったが、現段階では大きな破損がみられない型紙でも、脆化しつつあるものが多く見られた。また、8割以上を占める型紙が浴衣染色に用いられた型紙であり、今年度調査対象とした型入れ箱には手拭い用の型紙はほとんど見られなかった。型紙文様は、花鳥風月をモチーフとした物が多く見られ、さらに、複数種類の文様同士の組み合わせよりも、大柄な単一種類の文様をデザインしたものが多く、全体の55%であった。特に、花を中心とした植物文様が多く見られたことから、女性用浴衣が仙台地方でも多数染色されていたことが推測できた。
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