本研究は、わが国の家政学領域における「人材育成」「社会への発信」方法の改善をめざして、世界の家政学領域における、学会、初等・中等(家庭科の展開)・高等教育機関レベルでの「人材育成」「社会への発信」方法の実態を調べ、今後わが国における具体的な施策の提案と実践、若手(学生を含む)を中心としたわが国からの発信、リーダーシップをとれるような仕組みつくりに着手することを目的にするものである。 平成18年度は、まず、フィンランドにおけるThe 5^<th> International Household & Research Conferenceおよびその前日に行われた国際家政学会(IFHE)主催のIFHE Position Statement会議に出席することにより、世界の家政学の動向を知ることができたことが最大の収穫であった。本研究のテーマである家政学における「人材育成」や「社会への発信」は、世界の家政学でも重要なテーマであり、今後、家政学領域の高等教育のあり方、研究・教育のあり方が問われていること、さらに、国際的に協同(コラボレイト)することが求められていることを確認した。今後、学会レベルでは国際家政学会・米国家政学会、初等・中等教育では、フィンランドや日本、高等教育機関レベルでは米国で行われている取り組み事例に焦点をあて、具体的に明らかにすることが有効であると思った。 また平成18年度には、ICT、および家庭科のコンテンツを利用した「シンガポールと日本の高校生による国際交流プログラム」(eメール、TV会議、HP作成)および「国際交流授業をコーディネートできる家庭科教員育成のためのプログラム」(高校生の交流授業への参加、情報収集、プログラム企画)の検討・実施を行い、改善点を明らかにした。 来年度は、平成18年度で明らかになった課題を追究する研究・実践・提案を行いたい。
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