研究概要 |
代表的な界面活性剤であるラウリル硫酸ナトリウム(SDS)の種々の濃度の水溶液を作製し、気水界面に吸着した界面活性剤の赤外外部反射スペクトルの測定を行った。 SDS濃度が2mMの場合、CH_2逆対称伸縮振動バンドの波数が2924cm^<-1>となった。SDSの濃度が4〜10mMの場合は、2922cm^<-1>でほぼ一定であった。このバンドの波数は、分子の炭化水素鎖のコンフォメーションの状態を敏感に反映するものであることが知られている。この波数シフトは、濃度が2mMと4mMの間で、SDS分子の炭化水素鎖のコンフォメーションが、ゴーシュからトランスに変化する傾向があり、また4mM以上の濃度では、コンフォメーションが変化しないことを示している。また、同じバンドの吸光度は、2mMの場合約-0.0013、4mM以上の濃度では、約-0.0018で一定であった。 以上の結果は、先行の研究(Kawai et al, J.Phys.Chem.B 2005,109,4497)と同様の傾向を示したが、波数、吸光度ともに値が異なった。測定の水温が異なるため(28℃と22℃)、波数の違いに関しては、トランス/ゴーシュの比率が異なり、今回の実験条件のほうがよりオールトランスに近い状態だったと考えられる。強度の違いに関しては、SDSの吸着量の違いによるものか、分子の配向の違いによるものと考えられる。 続いて、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS-12)の濃度0.1mM水溶液の赤外外部反射スペクトルの測定を行った。上記と同バンドの強度は約-0.0011、波数が2926.5cm^<-1>であった。強度は2mMのSDSに近く、波数は大きく異なった。水面におけるSDSとLAS-12の吸着状態の違いが示唆された。
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