今年度は親教育のなかでも、思春期に行うものに注目し、昨年は児童館等における「中高生と赤ちゃんのふれあい事業」に着目したが、全国展開に際しては課題が指摘された。そこで、学校教育に組み込む可能性を探るべくカナダの「共感の根」プログラムを基本にすえた授業を構成し、K市の高校3年生6クラスを対象に授業実践した。 今年度は、各クラス1コマしか授業時間を確保できなかったため、事前の課題として保護者から育児に関しての聞き取りをする課題を事前に出して、その結果を持参させたうえで授業を実施した。また、授業を終えての事後調査アンケートは翌週提出させた。思春期における親教育としての授業のねらいは、1)各自がライフデザインするなかで1つのライフイベントとしての出産を意識し、いつ・何人の子どもを欲しいのか主体的に考え実行する意識付けをすること、2)保護者への聞き取りを通して自らが育てられた体験を振り返り、出産・育児の実際を身近に捉えることであった。事後アンケートをみるとこれらのねらいが概ね達成され、副次効果として人生約80年のなかで、就学期が短いこと、手がかかる育児期もまた長くはないことが明確に意識されたことの意義は大きいと感じた。 ただし、「共感の根」のように、本来は赤ちゃんとのふれあいを通して育児の現実を実体験する実際をリアルに体験することも必要である。今年度は学校現場の貴重な教育時間を譲り受けることの困難さゆえに実現しなかったが、岡山の例えば「フラワーベビープロジェクト」として実践されているような育児体験も重ねることができれば、より効果的な親教育(思春期)が可能となることが指摘された。
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