研究概要 |
黒大豆種皮由来色素成分の抗アレルギー作用の解明を目的として、黒大豆より含水エタノールにて抽出した種皮色素に含まれる成分のI型アレルギー反応の抑制効果を指標に検討した。 まず、黒大豆種皮成分のin vitroによる抗アレルギー作用について、ラット好塩基球様細胞株RBL-2H3を用いて、本エキスの共存下、抗原抗体反応による脱顆粒の際に放出されるβ-ヘキソサミニダーゼおよびヒスタミン量を測定し、エキス無添加の細胞に対する放出抑制率により脱顆粒抑制効果を評価した。抗体として抗ジニトロフェニル(DNP)-IgEを、抗原にはDNP-アルブミン(Alb)を用いた。また、既に抗アレルギー効果が報告されている甜茶エキスやシソの実エキスとの比較を行った。その結果、本エキスはRBL-2H3からの脱顆粒を濃度依存的に阻害し(IC_<50> 150μg/ml)、その効果は、同濃度において、既知の抗アレルギー成分である甜茶エキスよりは小さいが、フキエキスより大きいことが示された。 次いで、in vivoにおける抗アレルギー効果について、マウスを用いて、I型アレルギーのモデルである受動皮膚アナフィラキシー(PCA)反応により抑制効果を検討した。水に溶解した黒大豆種皮色素をマウスに10日間、1,000mg/kg/day胃内に連続投与し(コントロール群には水を投与)、耳にDNP-IgEを感作して24時間後、尾静脈からDNP-Albを色素とともに投与し、PCA反応により漏えいした色素を抽出して抑制効果を検討した。その結果、水投与群のマウスに比較して、黒大豆種皮色素を投与した群では、有意なアレルギー反応の低下が認められた。 以上のように、黒大豆種皮色素成分が抗アレルギー作用を有することをin vitroおよびin vivoにおいて確認した。次年度は、その抑制効果を発揮する物質を同定し、発症抑制のメカニズムについて検討する予定である。
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