調理過程におけるテクスチャーのコントロールが重要でありながら困難である野菜のうち昨年度に引き続いての「ニンジン」に加えて「ジャガイモ」「ハクサイ」についても、これに含まれるペクチン質の量と組成、化学構造と組織構造やテクスチャーの関係に着目し、様々な加熱調理による変化を比較することを目的に研究をおこなった。 <方法>食品サンプルを、A : 過熱水蒸気 (ウォーターオーブン「ヘルシオ」、シャープ製)、B : 圧力鍋(120℃)、C : ゆで (100℃) 、D : 保温鍋 (「シャトルシェフ」、サーモス(日本酵素)製)等の調理方法で加熱し、ペクチン質抽出用サンプルに最適な加熱条件を検討した。 <結果>既存の物性測定装置では感度に問題があり正確なデータが得られてない可能性が判明し、急遽科研費にて最新の解析装置を購入し、昨年おこなった「ニンジン」についても条件の再検討をおこない、昨年度の報告条件で問題のないことが確認されたため、各サンプルのペクチン質の抽出を行った。また、初年度に食用のサイズで研究をおこなった「ジャガイモ」についてもペクチン質抽出用サンプルに最適な加熱条件を検討した。ペクチン質抽出用サンプルは1個のジャガイモでA〜D全ての加熱サンプルを得る必要があるためサンプルサイズを直径10mm×厚さ5mmの円盤とした。各加熱法の最適加熱条件は平成18年度の研究に基づき破断応力が15〜18×10^4N/m2となるように設定した。ジャガイモの場合、皮層、外髄、内髄と部位によっても加熱による軟化や煮崩れ度合いが異なり、ペクチンの成分分析サンプルを得るには、使用部位も含め、さらに詳細な条件検討を加える必要があることが分かった。最終年度は、ニンジン・ジャガイモともにペクチン質の抽出・分析を終了させる予定である。
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