1 タンパク質含量の測定(ケルダール法) タンパク質含量はクロスズメバチ幼虫15g/100g、キイロスズメバチ幼虫23g/100g、トビケラ幼虫16g/100g、イナゴ21g/100g、蚕サナギ27g/100g、カミキリ虫幼虫lOg/lOOgで、肉類、魚介類に匹敵する含有量であった。 2 アミノ酸分析 1985 (FAO/WHO/UNU) (2-5歳)パタンによると、スズメバチ幼虫、トビケラ幼虫、蚕サナギのアミノ酸スコアはほぼ100であり、良質な動物性タンパク質であることを確認できた。一方、イナゴとカミキリ虫幼虫は含硫アミノ酸の含量が少なくスコアも低かった。 3 生理活性物質の探索 (1)抗酸化性試験 蚕サナギ、クロスズメバチ幼虫、イナゴのリン酸緩衝液抽出物に強いラジカル捕捉活性がみられた。 (2)抗菌性試験 イナコ、トビケラ幼虫、蚕サナギのメタノ叫抽出物に黄色ブドウ球菌に対する増殖阻害作用がみられた。 (3)α-グルコシダーゼ阻害作用 蚕サナギの熱水抽出物に強いα-グルコシダーゼ阻害作用がみられた。品種別に活性を比較した結果、「青白」、「世紀二一」の抽出物に強い活性がみられた(50%阻害濃度150μg/ml)。 4食用昆虫(蚕サナギ)の安定供給の検討群馬県の製糸工場と情報交換を行った。製糸後に残るサナギは鯉の飼料として出荷している。以上のことより、食用昆虫の中には栄養学的に優れているものや、強い生理活性成分を含むものがあり、新しい食品素材として利用できる可能性が示唆された。特に、蚕サナギは良質タンパク質、α-リノレン酸を多く含み、a-グルコシダーセ阻害作用も有することから、生活習慣病予防型の素材として期待がもてる。
|