研究課題
烏龍茶の製造工程と香気生成機構の関係を明らかにするためにモデル実験を行った。実際の烏龍茶製造工程では、室内萎凋(静置および攪拌)が行われるが、同時にチャ葉の水分が減少していく。そこで、チャ葉に対する水分減少ストレスを除き、静置と撹絆のみを行うよう、相対湿度99%、温度20度の室内で、静置と攪拌を行った。サンプルは、一番茶と二番茶にそれぞれ作製し、グリコシダーゼの酵素活性測定と香気分析を行った。酵素活性は、一番茶では攪拌を行うことで高められ、攪拌停止後は下がっていた。一方、二番茶では攪拌により酵素活性が高められるということは認められなかった。香気分析では、一番茶、二番茶共に、インドールが増加していた。特に静置よりも攪拌の方がより増加していた。配糖体として存在し、製造工程中にグリコシダーゼにより分解されて生成することが知られているアルコール系香気成分については、一番茶では増加しており、特に静置よりも攪拌の方がより増加していた。一方、二番茶では同等あるいは若干減少していた。チャ葉はチャノミドリヒメヨコバイの吸汁後、光合成が低下し、黄化することが明らかにされている。そこで、チャノミドリヒメヨコバイの抽出液をチャ新芽に接種し、同様の変化が見られるかを調べた。チャ葉の色は簡易型葉緑素計SPAD-502を用い計測した。接種前と比べ、接種後2日後には、コントロール群ではSPAD値が+0.47となり、接種群では-1.84となった。2週間後にはコントロール群ではSPAD値が+6.43となり、接種群では+1.75となった。接種群では光合成が抑えられた傾向にはあったが、黄化にまでは至らなかった。
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Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry 71
ページ: 1476-1486