研究概要 |
食品の嗜好価値の中で,形,色,つやを含めた外観特性は,視覚によって物理的に感じ取られる味であり,直接の味,舌で感じる味(特定の化学構造をもつ物質がもたらす味)とは異なる。食物の必要条件である可食かどうかのレベルの判定,鮮度の判定,適否・優劣を判断するにも五感による判定は有効であり,特に外観特定は国,人種を問わず重要な因子となる。中でも,色のもたらす心理的要素は非常に大きい。食品の色すなわち物体色は内容の判断にまで影響を及ぼす。実際,人は色で食材の鮮度のみならず,料理の火の通り具合,味わいなどを判断する。 食品素材の色彩は,生産過程,流通過程,保存過程,調理過程において,変化する。特に,流通過程,保存過程における色の変化は,鮮度に関連しており,購入意欲および食嗜好に強く影響を及ぼす。また,調理過程における食品の色の変化は食嗜好に強い影響を与える。 そこで,保存過程における色の変化について,保存条件(温度,湿度)による影響を検討した。用いた試料はサヤエンドウ,ゴボウ,ナスなどの生鮮野菜であり,クロロフィル,アントシアン,フラボノイドなどの色素変化について検討した。この際,色の変化だけではなく,官能検査も併せて行ない,色の変化とテクスチャーを含めた食嗜好の変化および関係について検討を行なった。 また,調理過程において色の変化に及ぼす影響について検討を行なった。具体的な測定項目は,調理・加工操作における影響,酸化および酵素的褐変,化学的な色素成分の変化である。色の測定には色彩色度計,結果の記録にはデジタルカメラを使用した。
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