12名の健康な女子大学生を被験者とし、3日間の低ビタミンC(C)食を摂取させたのち、1mmolのアスコルビン酸(AsA)またはデヒドロアスコルビン酸(DAsA)を経口負荷させた。負荷前の尿中・全血中C量と負荷後3、6、9、12、24時間尿および1、3時間後の全血中C量を測定した。本代謝試験はクロスオーバー法で実施した。すなわち被験者は約1ヶ月の期間をあけ、AsAとDAsA両型の負荷試験を実施した。また、負荷試験実施期間中に被験者に供した低C食は研究室で調理(一部、購入)した。被験者12名中、上記すべての検体がそろったのは9名であった。 前年度に同様の代謝試験を実施し、代謝試験結果を得ている8名の被験者とあわせ、17名についてC代謝との関連が期待される遺伝子(superoxidedismutase ; SOD2、SOD3、GlutathioneS-transferase ; GSTP1-1、GSTP1-2)の多型を分析した。このうち、被験者間で多型が認められたのはSOD2、SOD3、GSTP1-1であった。しかし、SOD3では多型出現頻度が低かったため、SOD2とGSTP1-1についてC代謝との関連を解析した。その結果、C代謝とSOD2多型との間に有意差は認められなかった。一方、GSTP1-1多型ではAsA負荷後の24時間尿中C排泄量がGA型で30±18mg、AA型で52±20mgであり、AA型のC排泄量が有意に上回った(p<0.05)。DAsA負荷後の24時間尿中C排泄量ではGA型が26±11mg、AA型が41±15mgであり、有意差は認められなかったが、AA型で多い傾向が認められた。全血中C量についてはDAsA負荷1時間後でGA群0.92±0.14mg/dL、AA群1.16±0.12mg/dLでありAA群で有意に多かった(p<0.01)。統計処理は分散分析を行ったのち、Bonferroni-Duneによる多重比較を行った。 ※研究の初年度であるので、文献発表は無いが第59回日本ビタミン学会大会のシンポジウム「PersonalizedVitaminology」の講演で上記実績は報告される。
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