研究概要 |
サプリメント中のモノグルタミル型葉酸は生体利用効率が高く、短期間での血中葉酸、ホモシステイン(Hcy)濃度改善に効果的と考えられている。しかし、サプリメント投与による急激な血中葉酸濃度の上昇には副作用も懸念され、同時に投与するビタミンが葉酸の作用に影響する可能性も考えられる。そこで、葉酸代謝の亢進が肝細胞に与える影響、葉酸とV.B2との相互作用について検討した。 方法 実験1:ラット肝細胞に0〜2000μMの5-CH_3THFを添加し、24時間培養した。 実験2:3次元培養ラット肝細胞に0〜200μMの5-CH_3THF、5,10-CH_3THFを単独あるいはリボフラビン(RF)と混合添加し、14日間培養した。 各細胞上清を試料とし、Hcy濃度、酸化型および還元型グルタチオン(GSSG、GSH)濃度を測定した。あわせて早期細胞傷害性についてWST-1アッセイで検討した。 結果 実験1において、葉酸添加4時間後のHcy濃度は、5-cH_33THF0μMに比べて20μMで13%、200μMで26%低下していたが、2000μMではHcy濃度の低下を認めなかった。酸化ストレス反応の指標となるGSSG/GSH比は20μMで最も低値を示した。実験2では、5-CH_3THF、5,10-CH_3THFとも100μMに比べて200μM添加時のHcy濃度が低かった。GSSG/GSH比はRF添加時に低くなった。培養終了時のwsT-1は、5-CH_3THF200μMで100μMの1.1倍、5,10-CH_3THFでは2.3倍まで低下していた。 葉酸添加で培養上清中Hcy濃度が低下したが、一定濃度以上では酸化ストレスの上昇も示唆された。一方、RF混合添加では酸化ストレスが抑制されていた。実験1、2で用いた試料は異なるものの、長期培養時には葉酸添加濃度が高いほど細胞傷害の進行が疑われた。また、WST-1の変化は葉酸の種類によって異なる可能性が考えられた。
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