研究概要 |
出芽酵母Saccharomyces cerevisiae (S.cerevisiae)のテスター用に改良された株S.cerevisiae B7を用い、突然変異に対する影響を、天然物及び食品中からの抽出物72種類について検討したところ、影響は見られなかった。しかし、単離精製したヒト由来YファミリーDNAポリメラーゼ(DNA pol η,DNA pol κ)と、比較対照としてヒト由来のXファミリーDNAポリメラーゼであるDNA po1 βを用いたDNA合成実験(in vitro)では、天然物及び食品中からの抽出物72種類中、下記に記す8種類で、DNAポリメラーゼ活性を阻害する効果が見られた。変形菌マメホコリの成分であるLycogarbin AはDNA pol βの活性を阻害し、プロポリスの成分の類縁化合物であるGeranyl caffateは3種類すべてのDNA polの活性を阻害した。また、プロポリスの成分の類縁化合物であるFarnesyl caffate、ニンギョウタケの成分のGrifolin、(-)-Daurichromenic acid、アオロウジの成分のアオロウジNeogrifolinは、2種類のYファミリーDNAポリメラーゼ(DNA po1 η,DNA pol κ)の活性を阻害し、生薬セリ科ビャクシのメタノールエキス化学成分のIsoimperatorin、Heraclenolは、DNA pol ηの活性のみを特異的に阻害した。 このことから、Farnesyl caffate、Grifolin、(-)-Daurichromenic acid、Isoimperatorin、Heraclenolは、YファミリーDNAポリメラーゼ活性を特異的に阻害する効果を持っている可能性が示唆された。
|